【拒否・絶縁?】LGBT当事者の家族の気持ちとは?
家族はどう思ってる?
某企業が実施したアンケートの結果によると、他人にカミングアウトをしたLGBT当事者の中で、「家族」にカミングアウトをしたという割合は約50%ということです。
「親しい友人」の80%に比べて数字が劣るのは、深い信頼関係ゆえ、「拒絶されたらどうしよう」という不安がそうさせているのかもしれません。
近年は、LGBTについて理解が深まったとはいえ、それは比較的若い世代の話。親世代となると、セクシャル・マイノリティを理解していないという人も多いのが現実です。
では、LGBT当事者が勇気を振り絞ってカミングアウトしたら、家族はどんな反応をするのでしょうか?ちゃんと当事者の気持ちを受け止めてくれるのでしょうか?
まずは実例を紹介しましょう。
レズビアンであることを受け入れた父親
広島県在住の石岡恵美さん(仮名、21歳)は、17歳の頃、同じ高校の女の先輩に恋をしたことがきっかけで、「自分は女性が好きなんだ」ということを初めて自覚したといいます。
そして恵美さんが18歳の時、初めて母親と妹にLGBTであることを告白します。二人は、はじめは拒否反応を示したものの、徐々に理解を示してくれるようになりました。
しかし、厳格な父親にはなかなか告白することができずにいました。
3年後、その時付き合っていたパートナーと結婚式を挙げることが決まり、いよいよ父親に告白をする時が来ました。
そして、臆病になりそうな恵美さんを励ましてくれたのは、母親と妹でした。
きっと怒鳴られる・・・そう思っていた恵美さんの気持ちを裏切るかのように、帰ってきた返事は意外なものでした。
「そうだったのか。おまえがそれで落ち着くならそうしなさい、今まで大変だったな。」「今は同性婚ができないけど、できるようになったら俺がまた結婚式をやってやる」
その優しい言葉を聞いて、恵美さんは思わず嬉し泣き。
家族にカミングアウトしたことで、改めて家族の絆を強く感じることができたと恵美さんは語っています。
ゲイであることを受け入れられなかった母親
東京都に住む本田知宏さん(仮名、25歳)は、20歳の頃、自分がゲイであることを自覚しました。
しかし、両親をはじめ誰にもこのことを打ち明けられず、「このまま誰にも言わずにいこう」とさえ思っていました。
ところがある日、母親から「何か隠していることがあるんじゃないの?」と問われました。母親は、普段の知宏さんの言動から、何かを察しているようでした。
知宏さんは、そこで初めて自分がゲイであることを告白しました。その途端、母親はショックのあまり泣き崩れてしまいました。
LGBTについて理解が無い母親にとって、息子がゲイであることは『普通ではない』ことだったのです。
さらに追い打ちをかけるように、母親は知宏さんにHIV検査を受けるように要請しました。
そして、検査で陰性が出るまで洗濯物は別で洗い、入浴は一番最後で入って欲しいとまで要求しました(もちろんこれは大きな誤解で、HIVはそもそも洗濯や入浴を一緒にしたくらいでは感染しません)。
検査は陰性だったものの、親子の間には深い軋轢が生じ、毎日がどこかよそよそしくなってしまいました。知宏さんは、そんな親子関係に耐え切れず、とうとう家を飛び出してしまいました。
家族の気持ちは様々
家族が気持ちを受け止めてくれた例、受け止められなかった例をそれぞれ上紹介しました。
このように、家庭環境によって受け止め方は様々です。
しかし、仮に許容されなかったとしても、それは親子の愛情が欠乏しているということではなく、LGBTに関する理解が足りていないと解釈すべきでしょう。
日本には、LGBT支援団体が数多く存在し、勉強会や交流会などが全国至るところで開催されています。
もし家族が理解を示してくれなかったら、このようなイベントに参加してもらい、LGBTに関する理解を深めてもらうのが良好な家族関係を築く近道となるかもしれません。