【病院】まさかこんなことが・・・ LGBTを悩ませる看護の問題点3選
LGBT看護の問題点
「からかっているんですか?ちゃんと書いて持ってきてください!」看護師に問診票を突き返されたのは、平山淳史さん(仮名、28歳)です。
平山さんはトランスジェンダーで、元々は女性として生まれました。
2年前、性適合手術を受け、戸籍上も男性として生活していました。
しかし、風邪の治療のために病院に行った際、既往歴の欄に「子宮摘出手術」と書いたことから、病院側から「からかっている」と受け取られてしまったのです。
LGBTは、今や広く世間に認識されるようになりましたが、理解が進んでいるのかというと別の問題になります。
そしてそれは、看護の現場においても同じことが言えます。
LGBTに関する知識・理解がないことにより、医療関係者のちょっとした言葉・行動がLGBT当事者を傷つけてしまうことが実際に起こっています。
今回は、LGBT当事者を悩ませている看護の問題を3点程ご紹介します。
問診票の問題
冒頭の平山さんの例でも触れました、問診票の問題です。
だいたいどこの病院でも、問診票には性別を記入する欄がありますが、何も補足がないと、性自認としての性別なのか、若しくは戸籍上の性別なのか不明確です。
LGBT当事者の性に関する認識は、非常に複雑でデリケートです。
自認する性別と異なる性別を意識させられることは、LGBT当事者にとって非常に大きな精神的苦痛を与えることになります。
また、性別欄を「男・女・LGBT」と分けている病院もあるそうですが、配慮しているように見えてあまり配慮になっていないというのが現実です。
LGBTには、ゲイやレズのように、自認している性別と戸籍上の性別が一致している人もいます。
その人から見れば、まるで差別をされたかのような感覚に陥ってしまいます。
待合室での問題
待合室で待っている時、風体と明らかに異なる名前(本名)で呼ばれてしまったことから、周囲の人からジロジロ見られ、嫌な気持ちになったという話をよく聞きます。
男性の格好をしているのに「〇〇花子さん」、女性の格好をしているのに「〇〇太郎さん」といった具合です。
周囲は、LGBTに理解のある人たちばかりではありません。目の前で露骨にヒソヒソ話をされれば、気持ちいい思いをする人はいません。
病院側としては、番号で呼ぶ、苗字で呼ぶなどの配慮が必要かもしれません。
問診の問題
問診票の記入、待合室の名前呼び出しの苦難を乗り越えてきた当事者を待つのは、医者による問診です。
問診は、非常にセンシティブな内容にまで踏み込むことがあります。
これは、治療の都合上仕方のないことなのですが、LGBT当事者にとっては答えづらい質問となる場合があります。
例えば、ゲイで彼氏持ちの人が「彼女はいますか?」と聞かれた場合、なんと答えれば良いのでしょうか?彼女ではないので「いいえ」という答え方をすればよいのか?「彼氏ならいます」と答えたらよいのか?
他にも、「結婚していますか?」「最近、男性(女性)と性行為をしましたか?」などがあります。
これも、「パートナー」と呼び変えるなどの配慮が必要となってきます。
LGBT看護を考える
LGBT当事者の中には、差別的な扱いがトラウマとなってしまっている人も多くいます。
また、「治療のためならカミングアウトもやむなし」と考える人もいれば、「いくら治療のためでもカミングアウトしたくない」と考えている人もいます。
看護の現場で恐怖心を抱いてしまうと、本人の命に関わる問題に発展するかもしれません。
このような問題が起こる原因は、「『LGBTではない』ということが普通」という前提条件が、世間一般的に認識されていることにあります。
しかし、LGBTの割合は左利きと同じくらいの割合であり、LGBTであることはもはや「普通」であることなのです。
医療現場も含め、世間はそろそろ性の多様性について正しく認識すべきなのかもしれません。