【不都合被る?】LGBTQの生命保険加入について
不測の事態に備える生命保険。
安全性を重視する国民性もあってか、日本では、現在80%以上の人々が何らかの生命保険に加入していると言われています。
しかし一見すると誰もが加入できそうな生命保険ですが、LGBTQ当事者の場合は少し違います。
保険金の受取人に指定できない、又はそもそも生命保険に加入できないという状況になってしまう可能性があります。
一体なぜ、LGBTQ当事者は生命保険加入時に不都合を被るのでしょうか?
今回は、LGBTQ当事者を取り巻く生命保険事情について解説していきます。
生命保険の加入条件
生命保険とは、人が死亡(若しくは生存)したことにより発生した損失を補填する目的で販売されている、保険会社の商品です。
各種生命保険には加入条件が定められており、厳正な審査が行われます。
この審査の結果に基づき、保険加入の是非や生命保険料が決まっていきます。
ここの基準は保険会社により異なりますが、例えば過去に大きな怪我などによる手術や入院をしたか、悪性新生物(がん・肉腫・悪性リンパ腫・白血病等)と診断されたことがあるかなど、審査は数十項目に及びます。
もちろん、保険会社は利益を出さないといけません。
その性質上、身体状況が芳しくない人間は、死亡リスクが高い(保険金を払い出す可能性が高い)と捉えるのです。
LGBTQ当事者は加入を断られる?
ここで問題になるのは、LGBTQ当事者たちが生命保険に加入できない場合が考えられるという点。特に審査に厳しいのは、LGBTQのTにあたるトランスジェンダーの方々です。
トランスジェンダーとは、身体と心の性別が異なる人の事。医学的には、「性同一性障害」と呼ばれています。
これは、「障害」という名は付いているものの身体的には異性愛者たちと何ら変わりなく、怪我でも病気でもありません。
ではなぜ、LGBTQ当事者は生命保険会社に敬遠されがちなのか?
それは、ホルモン治療による副作用があるとみなされるからです。
トランスジェンダーの方々は、全員ではありませんがホルモン治療を行っている方も多くいます。
ホルモン治療を行っている場合、一般的には
・体温調整能力の低下
・血栓
・骨粗しょう症
・関節痛
・メンタルダウン
などの副作用があると言われています。
保険会社からすれば、ホルモン治療を行っているLGBTQ当事者は健康リスクが高いと見るわけです。
さらに、LGBTQ当事者は平均寿命が性転換手術を行った場合、ホルモン分泌量の変化などにより内臓に負担がかかり、術前と比べて老化が進みやすいと言われています。
一時、ネット上では「性転換手術後の平均寿命は43歳」などと根拠のない噂まで流れていました。
これらの理由から、「性同一性障害の人は平均寿命が短い」とみなされ、生命保険の加入を断られる場合があるのです。
ところが、データを読み解いてみると、LGBTQ当事者の平均寿命は決して短くないということが分かります。
統計上、性転換手術を行ったLGBTQ当事者の死亡率は、FtMの場合は平均の1.42倍、MtFの場合は1.12倍という数字が残されています。
しかも、この数字は自殺やHIV感染など外的な要因も含まれていますので、実質的にはもっと下がると思われます。
確かに、平均よりは少し高い数字かもしれませんが、これだけで「LGBTQは平均寿命が短い」と言い切ることは出来ないと私は考えます。
LGBTQでも加入できる生命保険
とはいえ、LGBTQに関する認識が広まってきたことから、LGBTQ当事者に関わる生命保険の加入条件も徐々に緩和されつつあります。
例えば、LGBTQフレンドリーを掲げているアクサ生命、第一生命、メットライフ生命などはLGBTQ当事者であっても問題なく加入できる商品を扱っています。
中には、保険金の受け取りを同性パートナーに指定できる商品もあります(この場合、パートナーシップ制度証明書が必要)。
他にも、「ダイバースパートナーズ」という会社が取り扱っている「パートナー共済」という商品もあります。
この商品は、LGBTQ当事者が一般の保険に感じている「入りづらさ」を解消してくれるものです。
仮にHIVポジティブであったとしても、ホルモン治療中であったとしても、問題なく保険に加入することができます。
名前からすると「LGBTQ専用の保険なんじゃないか?」と思われるかもしれませんが、全くそんなことは有りません。LGBTQ当事者以外の方でも通常どおり加入できます。
生命保険へ加入する場合は、上記のように、LGBTQフレンドリーな生命保険商品を選ぶことをお勧めします。
まとめ
以上、LGBTQと生命保険の関係について解説してきました。
何も知らずに生命保険に加入しようとすると、「突然加入を断られてショックを受けた」という状況なってしまう可能性があります。
そんなあらぬストレスを受けてしまわないように、事前知識はしっかりとつけていきしょう。
この記事が、少しでも役に立ってくれれば幸いです。