CULTURE

性差別の要素を取り除いた「ジェンダーフリートランプ」爆誕!

ジェンダーフリートランプ爆誕!

  トランプ。それは、我々が子供の頃から慣れ親しんできた、世界で最もポピュラーなカードゲームです。54枚という絶妙なカード総数、そして単純かつ奥が深い作り込みで、これまでに多種多様のゲームが生まれ、人々を楽しませてきました。また、占いなどに使用されることもあります。

  しかし、このトランプのカード構成について、疑問をていせざるを得ない部分が一点だけ存在します。

  ジャック、クイーン、キングの3種類の絵札のうち、なぜクイーン(12)はキング(13)より格下なのでしょうか?「トランプってそういうものでしょ」と片付けてしまうのは簡単ですが、よく考えれば、これは無意識的に男尊女卑の意識を植え付け、性差別を助長させることになりかねません。

  そこで今回紹介したいのは、オランダでデザイナーの仕事をしているインディ・メリンクさんが発案した「ジェンダーフリートランプ」です。インディさんは、なぜ男性(キング)が女性(クイーン)よりも強いとされているのかという部分に疑問を持ち、「オールジェンダーが本当の意味で楽しめるように」と、このトランプを作成したということです。

トランプの起源

  ジェンダーフリートランプを説明する前に、まずはトランプの起源について確認してみましょう。

  そもそもトランプの始まりは、古代エジプト説や中国説など様々な考察がされており、実は正確な起源はよくわかっていません。しかし、今の形(52枚+ジョーカー2枚)で定着したのは、16世紀頃のイギリスで、これが明治時代に日本に渡って広く普及したとされております。

  16世紀のヨーロッパは、今と比べて男尊女卑の思想が強く、男は外で働き女は家事をするということが当然とされていました。また、女性は「理解できない存在」という男性主観のレッテルを貼られ、当時の女性たちは、政治はもちろんのこと、芸術などの分野においてもなかなか参加することができない時代でした。

  そんな時代に作られたのが現代に通じるトランプなのですから、クイーンがキングよりも格下になっているのも、ある意味納得がいく話です。

  ちなみに、ジャックは「召使い」という意味合いがあり、それゆえクイーンやキングよりも格下なっているようです。また、絵柄にはそれぞれ歴史上の偉人をモデルとしているなど、トランプに関する雑学は意外と面白いものが多いので、調べてみると新しい発見があるかもしれません。

新要素「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」

  そこでインディさんが考え出したのが、ジェンダーレストランプ。このトランプは、「ジャック」「クイーン」「キング」の絵柄をすべて廃止し、代わりに「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」を採用しています。これらのカードは、「ブロンズ」<「シルバー」<「ゴールド」の順に強さの格付けがされており、「オリンピックにおけるメダルの色をヒントに設定した」とインディさんは語ります。

  このトランプは、オリンピックに着目をしたというところが特に秀逸な点であると言えます。今やオリンピックは、トランプと同様に世界中の国で認知されているグローバルなイベントであり、どのメダルの色が格上なのかというところに関しても、世界中で認識の統一が図られています。

  従って、ルールを覚えなおすという作業をほぼ必要とせず、またこのトランプを使用することにより遊べなくなるというゲームもありません。現在普及しているトランプの良い点を残しつつ、男尊女卑の思想だけを取り払ったのが、このジェンダーフリートランプなのです。

トランプが世界を変える?

  ジェンダーフリートランプについて、もしかしたら「たかがトランプの絵柄」と思う方もいるかもしれません。確かに、ジェンダーフリートランプが世界に普及するまでには、時間を要すると思います。

  しかし、どんな些細なことであっても、一人一人が声を上げていくということが大切です。小さな事象の積み重ねが、やがては大きなムーブメントに変化した事例はたくさんあります。

  このトランプが普及することにより、一人でも多くの人が「性差別」に関して問題意識を持ち、そして一日も早くジェンダーフリーな世界がおとずれることを祈っています。