男性ホルモンの投与で得られる嬉しい効果
性同一性障害を抱える身体性女性の方の中には、いつかは心の性別と同じように身体も男性になりたい、と願う方が多くいます。
従って、「身体も男性に」と願う方の中には、男性ホルモンを投与することで身体を男性に近づける努力をしている方もいます。
実は男性ホルモン投与は、副作用がある一方で、当事者にとって思いがけない嬉しい効果をもたらすこともあるのです。
今回は、男性ホルモン投与によって起こる嬉しい効果についてまとめました。
男性ホルモンについて
ひとえに「男性ホルモン」といいますが、ちゃんとした名前があります。
数ある男性ホルモンの中でも最も一般的なものは、「テストステロン」と言われるものです。
テストステロンの分泌が増えると、身体性が男性の場合、生殖機能の向上や筋肉・骨量の増加などの効果をもたらしてくれます。
意外なことに、身体性女性の身体の中でもテストステロンが生成されています。とはいっても、身体性男性の5~10%程度ではありますが…
テストステロンは、身体性女性の場合、性衝動を高めたり男性的な思考にさせたりという作用があるようです。
男性ホルモン投与の副作用
では、性同一性障害(身体性女性)の方がテストステロンを投与するとどのような副作用が起こるのか?
一般的には、以下のような副作用があると言われています。
1 膣機能の低下
膣が委縮することにより、膣感染症を引き起こす可能性がある。
2 皮脂分泌量の増加
皮脂の分泌が増加することによりニキビができやすくなる。
3 脱毛
頭皮が薄くなる可能性がある。
4 肝機能障害
肝臓に負担がかかる。
5 不可逆性
ホルモン投与をやめたとしても、膣や卵巣の機能は元には戻らない。
これらの副作用は、個人差はあるものの身体に負担がかかり、金銭的な理由も相まってホルモン投与を途中でやめてしまう、という方もいるようです。
男性ホルモン投与がもたらす嬉しい副作用
上記のように、男性ホルモンの投与は辛い副作用が付きまといます。
しかし、男性ホルモン投与は、副作用がある一方で嬉しい効果をもたらしてくれる場合があるのです。
では、男性ホルモン投与により得られる意外な効果について紹介していきましょう。
生活習慣病の予防
生活習慣病とは、飲酒や運動不足、偏食などの生活習慣が原因となって発症する疾患のことです。
実は最近の研究では、テストステロンには生活習慣病を予防する効果があることがわかってきたのです。
生活習慣病の代表格である糖尿病を例にとると、人間の体内でテストステロンの分泌量が増えた場合、糖の代謝において極めて重要なGlut4遺伝子の発現が増加し、体内血糖量を改善することができるのです。
運動能力の向上
テストステロンを投与することにより、「足が早くなった」「重い物を持てるようになった」と感じる人が多いようです。
それもそのはず、テストステロンには人間の筋力を増加させる働きがあるのです。
テストステロンを投与し過ぎたことによって、ドーピングを使用したと指摘された運動選手もいるくらいです。
さらに、テストステロンを投与することにより、赤血球の生産量が増えて筋肉や臓器に多くの酸素が供給され、エネルギーの生産と回復を促進するという効果もあります。
メンタル面の改善
テストステロンは、身体的だけではなく脳や心にもよい影響を与えてくれます。
テストステロンの分泌量が増えることで、思考や決断が男性的になると言われています。
「怒りっぽい」「荒っぽい」という攻撃的な特性がある一方で、「明るい」「前向き」などの豪快さも持ち合わせています。
高齢になった男性が突然うつ病にかかってしまうのも、加齢によるテストステロン分泌量の低下が原因であることが多いようです。
まとめ
以上、男性ホルモン投与により得られる嬉しい効果について紹介してきました。
モルモン投与は副作用があり、人によっては辛く感じるかもしれません。
しかし、今回紹介した内容を踏まえ、「辛いことだけじゃない」と前向きな気持ちを持つことができれば、精神的な支えになること違いありません。
この記事が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。