【制服・プール問題など】トランスジェンダーを悩ませる学校生活(LGBTQ)
既成概念に隠れた罠
男子はズボンを、女子はスカートを履くべきである。
日本の学校では、このように男女の性別に応じて制服を使い分けるのが当たり前とされてきました。
同じように、プールの授業においても、男子は水泳パンツ、女子はスクール水着を別々に着用するのが常識とされていました。
これらは、一見して何の問題も無いように思えますが、実はこのルールによって、精神的に大きな苦痛を感じている人たちが一定数存在します。
それが、トランスジェンダーと呼ばれる人たちです。
服装の強制は自己の否定
トランスジェンダーとは、身体的性別と自覚している性が異なる人のことをいいます。
例えばFtM(身体→女性、心→男性)の場合、身体的性別に合わせてスカートを履かせるということは、通常の男性にスカートを履かせることに等しく、当人にとってみれば、ものすごい違和感を覚えてしまうことなのです。
MtF(身体→男性、心→女性)の場合でも同様に、プールの授業の際に水泳パンツのみを履かせるということは、通常の女性を上半身裸にさせることと等しいことです。
中には、裸を見られるのが苦痛で、いろいろと理由を付け、高校3年間で一度も水泳の授業に出なかったというMtFの人もいます。
どちらの場合でも、自覚している性と異なる服を強制的に着用させられるということは、まるで自己を否定されているかのような感覚に陥ってしまうものなのです。
制服は義務なのか?
そもそも制服は、必ず着用しなければいけない「義務」なのでしょうか?
実は、どの規則を読んでも、制服の着用を義務化させるというような文言はありません。
これは、水着の着用に関しても同じことが言えます。
制服や水着を学校ごとに指定しているのは、生徒たちに集団帰属意識を植え込ませることが目的であり、すでに前時代的な発想であるとも言えるでしょう。
最近では、生徒の自由意識を尊重し、私服登校を可能とする学校も増えてきています。
LGBTに向かい風の教育現場
これまで、多くのトランスジェンダーが制服や水着の問題に悩まされてきました。
しかし近年では、学校現場にも「セクシャルマイノリティに配慮すべき」という風潮が広がり、制服や水着の着用方法について見直されるようになってきました。
埼玉県の某中学校では、男子でも女子でも履くことが出来るスラックスを導入し、スカートとスラックスどちらを選んでも良いという校則を設けました。
リボンの着脱に関しても個人の自由となっており、もちろん男性がスカートを履くことも可能です。
また、水着に関しても、自認する性別に合ったものを着用可能とする取り組みが進んでいます。
さらに、露出度が低く男女どちらでも着用可能な「ラッシュガード」を導入して欲しいという要望も多く上がってきています。これらが実現するのも、時間の問題と言えるでしょう。
まとめ
これまでの学校現場では、制服や水着などについて「着用を強制されるもの」という認識が当たり前でしたが、今では既に「自由に着用するもの」という認識に変わりました。
そして、今後もこの流れはますます加速することでしょう。
そうなれば、これまで多くの苦労を抱えてきたトランスジェンダーの学生たちも、ストレスを抱えることなく、楽しく明るい学生生活を送ることができるでしょう。